返し裏打ち (かえしうらうち

 

 作品や裂地を裏打紙1枚でしなくてはならない場合で、とくに作品が大きいものには便利 な工法である。作品の上に裏打紙を所定の位置に置き、半分ずつ返して裏打をする。裏打ち 紙が糊をつけてもとの位置にきちんともどり、狭い場所で作業ができるので便利な方法である。
半分ずつ返してする裏打は、境目の糊づけがたまらないように注意することがポイ ントである。小さい作品は裏紙の一端に糊をつけて180°返し、全面に糊づけして、も どす方法をとる。

 

柿渋 (かきしぶ)

 

 渋柿の実からとった液。仮貼板の表面に塗りつけるもので、作品や裂地などの裏打をした ものを仮貼板に張りつけたときはがしやすく、かつ仮貼板を傷めず、劣化を防ぐ効果がある。 くさい臭いがするので扱いには注意を要する。塗ってから日数がたつにしたがって、 コゲ茶色に濃くなっていく。乾燥後ニスを一度塗ると作品に色がつかず、はがれやすくなるのでよい。

 

額装 (ガクソウ)

 

 作品(油絵。日本画、書、布、紙、木など)を額に表装することをいう。略して額装と呼ぶ

 

掛け竿 (かけさお)

 

 掛け棒、取り棒、受け棒、取り竿、受け竿などといろいろ呼ばれている。表具用裏打紙を 糊づけして、手だけで待ち運ぶことは不可能なので、一辺の端を掛け竿に張りつけて持ち上げる。材質は杉・檜材が多く、物差しの1尺・2尺差しを兼用している人もいる。裏打ち紙の大きさに合わせて長さを2〜3種作っておくと便利。

 

掛け紐 (かけひも)

 

欽から鉄に引っ張って取りつけてある掛け軸の紐。掛け軸を掛けるときに使用する。その紐で軸受けに掛ける。できるだけたるみなく取りつけること。

 

画仙紙 (がせんし)

 

 書両用の白色大判の祇で、中国が原産で現在日本でも生産されている。湿らすと、やわらかくなって持てなくなるものもある。扱い上とくに注意しなければならない。伸び縮みも大きい。両簾紙の裏打紙には本草(ホンクサ)が適する。表面が白く仕上がる。

 

片岡糊 (かたおかのり)

 

 防湿表装用の合成樹脂の化学糊で、活齟t堂製造。やや固い白色の袋入り2kgで、切継ぎ、裏打ち兼用で裏打ちには薄めて使用する。

 

カマチ (かまち)

 

 額、ふすまなどの骨の周囲の木のことをカマチ(框)という。

 

紙と裂地の張力 (かみときれじのちょうりょく)

 

 裏打紙と裂地の縮む力が残っていることで、常に中心部に向かって縮む力がある。この縮む力によって掛け軸は平らになっているのであるが、その力が大きすぎると反りがくる。 湿度の関係もある。

 

紙取りする (かみどりする)

 

 裂地や作品の裏打をするにあたって、裏打紙を作ることをいう。漉き目の方向を調べ、周 囲8分〜1寸(2.4〜3cm)大きく作ること。総裏打での手漉き和紙の食い裂きで継いでも、 紙取りをするという。

 

仮貼り板 (かりばりいた)

 

 杉の白太材(杉の周囲の白いところ)で、格子状に組み合わせられたもの(障子のような もの)に両面に和紙で下張りを4〜6回以上張った上に柿渋を塗ったものが一般的である。
厚さは2.4〜3cmくらいで大きさも90cm x 200cm、90cmx270cmなどがあり、大きい掛け軸は、 壁面に下張りをして仮貼板として使う。作品や裂地の裏打、総裏打などをしたものを張りつけて乾燥させるのに必要なもの。伝統技法にはなくてはならないものである。

古いふすまのベニヤ板を利用するアマチュアの方もいるがベニア板は反りがくる 。

 

仮巻 (かりまき)

 

 一枚の白い紙の上下にハ宗と軸棒がついていて、掛け軸と同じようになっているものをいう。
マクリ、すなわち未加工の作品(裏打などしていない、書き上げたままの作品)を仮巻の 上にのせて上下2ヵ所ずつ紙テープ(紙片でも可)で糊づけし、販売、保存のできるよう にしてある仮の掛け軸。

 

カン打ち (かんうち)

 

 ハ宗に欽を打ちつけること。欽の上部は環状になり、足は内側に向けて打つことにより抜 けにくくなる。

 

巻子 (かんす)

 

 巻物、経巻のことで、横書きした書や絵はこのように仕立てる。平家納経などはこれに当 たる。

 

カンを紐で巻くるむ (かんをひもでまきくるむ)

  掛け紐の取りつけには左右の鉄の環は見。えないように、包帯で巻きくるむように隠すこと。

 

絹ごし (きぬごし)

 

裏ごしの網に上等の目の細かい絹を使用したもの。絹本の作品を裏打するときに、この絹 ごしで、糊刷毛を使い糊の上をなでながらゆっくりとこしていくと、きめいなきめの細かい 糊が出米上がる。絹本にはきめの細かいきれいな糊を使う。表面の仕上がりがきれいになる。

 

京表糊 (きょうひょうのり)

 

 表装用の化学糊で、京都表具協同組合で発売し、ミツワ化学工業鰍ナ製造している。ビニール袋入り2sで粘土状の白色、切り接ぎ・裏打ち両用で裏打ちには薄めて使う。

 

切り継ぎ刷毛 (きりつぎはけ)

 

 熊毛(馬尾毛)、狸毛で糊刷毛より毛の量が少なく毛丈が短い。固い糊を使うので、コシの 強い(弾力性のある)毛並びのそろった刷毛がよい。イ乍品や裂地を継ぎ合わせていくとき に細かく園い糊をつけるのに使う。仕上げの軸、八宗取りつけにも欠かせない刷毛である。
食い裂きの水線を引くときにも特徴を発揮する。

 

霧を吹く (きりをふく)

 

 作品や裂地を湿らすのに水刷毛を使用するが、なれないと平均に湿りをいれられない、そ こで霧吹きで水を吹きつけることをいう。水がたれる霧吹きは少し離れたところから吹くとよい。園芸用の霧吹きよりも手芸用の霧吹きのほうが霧が細かい

 

裂地 (きれじ)

 

 表装用に使用されている布地のことを裂地(キレジ)という。明治中頃より表具専用とし て織られるようになり、平織、綾織、綾子織などがある。幅は2尺2寸〜2尺4寸(66〜 72cm)くらいで長さは1反(約9m)、1疋(約18m)が普通幅、広幅のものは2尺7寸〜3 尺(81〜91cm)がある。たて糸が細いのが特徴で、絹、綿、人絹、紙などで作られている。 明治以前は法衣や装束などの着物を解いて使用していた。近頃では新しい布地(洋服地など)を使う人が出てきている

 

金泉糊(きんせんのり)

 

 表装用の化学糊で且O好金泉堂製造。粘土状の白色。ビニール袋入り2kgで、切継ぎ・裏打両用で裏打には薄めて使用。

 

金襴 きんらん)

 

 裂地に金糸を織り込んであるものをいう。金糸は、和紙の上に金箔を押したものを糸状こ裁断した金の紙糸である。金の種類によって本金欄、合金欄、準金欄、裏箔金欄などがある。

 

食い裂き工法 (くいさきこうほう)

 

 紙と和紙との継ぎ方で、棒継ぎと食い裂き継ぎとがある。和紙の一辺を水で引きちぎって 和紙独特の長い繊維を出し、その繊維同士を重ね合わせて継ぐことをいう。特徴として、 重なりが目立つ平らな1枚の紙になる。大きな紙のない時代の先人の考え出したすばらし い方法である。食い裂きの継ぎは和紙と和紙とを継いでから裏打をする箇所と、裏打をしながら継いでいく箇所がある。

 

組子 (くみこ)

 

  12mmx14mm角(カク)の棒を何本か格子状に組み合わせて、外周にカマチ21mmx16mm角(カク)を取りつけた額、屏風、ふすまなどの内側の格子を組子という。

 

絹本 (けんぽん)

 

 絹に描かれた日本画、書の作品のこと。低に書かれたものを低木(シホン)、綬(ヌメ)に描 かれたものを統本(コウホン)という。統は綸子織の絹で光沢があり、なめらかな薄地。

 

合紙する (ごうしする)

 

 低を貼り合わせること。下張紙にスキ合わせという低があるが、これは紙漉きの時点で同 時に合わせてしまう。低を合わせるには漉き目の方向を同じにしないとうまくいかない紙の場合)。

 

交織(こうしょく)

 

 異種の糸を交ぜて織った布。絹と綿、絹と化繊などのこと。表装裂地では交織綿パー・交 織パーなどがこれに当たる。

 

こき取る(こきとる)

 

 裏打紙に糊づけをしてたまった糊を逆刷毛で取り除くことを、糊をこき取ると表現する。 こき出せ、こき取れなどともいう。

 

小口(こぐち)

 

 額やパネルに紙を張りくるむときに額、パネルの厚さ(見込)のはうにまわして張ること を小目へ張るという。この場合は厚さのことである。また、八宗の切り小目は木口とも書 いて、福島絹を張るところ。掛け軸の巻き士jずた左右の巻き目を小口ともいう。「巻きが合 う」は専門用語で小目がきちんとそろっていることをいう。

 

コテ

 

 電気アイロンの小型のもの。早くかわかしたい部分、耳折り、風帯を作るときなどコテを 使うとよくつく。あて紙をして保護しながら使うとよい。

 

強ばる(こわばる)

 

 裏打糊が濃いとゴワゴワの仕上がり状態になる。それをコワばるという。糊は接着すれば できるだけ薄いほうがよい。ただし薄すぎると浮い(はがれ)てしまうので、糊の濃度は いちばんむずかしいところである。